初めてろくろを回した。
正確にはろくろは勝手に回っていて、僕はただ座って無限に回り続ける土の塊に手を当てていただけだけれども。
手の中で回っている土の塊を成形するのは意外に難しくて、出来上がったのは想像とは全く違ういびつな湯のみだった。
きれいじゃなくても味のある湯のみができればいいなと思っていたけれど、何の特徴もない湯のみができてしまったことに自分でも驚いてしまった。
ただ湯のみを作っただけなのに、湯のみから「君は平凡な人間だね」と言われているような気までしてくる始末。(被害妄想でしかない)
創作活動の難しさを実感し、毎日毎日こんなことと向き合っている芸術家はいったいどこまで自分の内面と向き合い続けなきゃいけないんだろう、と不安になったところで時間が来て僕はろくろ体験コーナーを後にした。
創作をしていて「枯れる」ということの意味が少しわかったように気がする30分だった。
こんなに創作活動が内省的なものとは知らなかった、小説家とか画家はいったいどうやってこれで飯を食うほど作品を作れるんだろう。