昨日は久しぶりに安物買いの銭失いを実際にやってしまった。
最近は気を付けてそういうことを回避しようとしていたんだけど、本当に久しぶりにやってしまったな、という気分を味わった。
買ったのはソーセージ。
昨日は久しぶりに家でまともな食事を作ろうとしていて、その買い出しでスーパーに行っていた。
特に目的もなくぶらぶらと店の中をうろついて、何か安いものはないかと主婦気分になって探していた。
一時の野菜の高騰も収まってきたようで、白菜もそんなに高くなくてお買い得。
じゃあ今日は豆乳鍋にしようかという気分になってきたところで僕はお肉コーナーに侵入し、奴は視界に入ってきた。
視界に入ってきたのはソーセージだった。といっても最初に見えたのはシャウエッセン。
そういえば日本ハムも日本一になったし、ご祝儀としていいソーセージを買ってあげるのもいいかな、と思いながら棚に近づいていった。
シャウエッセンを手に取ろうとしたその時、隣にあるソーセージを思わずちらりと見てしまった。
なんと2パックで180円だった。
同じ日ハムの商品だったので僕は2パックで398円のシャウエッセンを棚に戻し、格安ソーセージをかごに入れてその場を立ち去った。
1人暮らしの家計にとって二倍以上の価格差は決定的な購入動機になりうる…
それにしても安い。これが見たこともないブランドのものだったら絶対に買っていないな、と思いながら僕は家に帰った。
家に帰ると僕はすぐにソーセージをボイルするためにケトルのスイッチを入れた。
ソーセージの調理方法においては焼く派と茹でる派が対立しているが、自分もまた圧倒的茹でる派原理主義だ。
フライパンも汚れずにお湯にソーセージを入れて待つだけでよく、さらにパリッと仕上がるのだから、こっちの方は優れているはず。
沸いたお湯の中に買ってきた格安ソーセージを放り込み、しばし待つ。
気分が盛り上がってきたので、冷蔵庫からビールを出して乾杯しつつ、程よく温まったソーセージを頬張る。
―――これはまずい―――
まず過ぎる…一口頬張って肉の味を感じた瞬間に何かとんでもないものを食べてしまったかのような感覚が走り、吐き出してしまった。
確認のためにもう一つソーセージをとって食べてみる。
―――やはりまずい―――
なんというか、本当にくずにくをすりつぶしたものにスパイスをぶち込んで無理やり商品化しました!としか言いようのない味が口中に広がる。
触感もあらびきというよりはペーストに近く最悪だ。
僕は日本ハムに恨みの言葉を吐きながら残るソーセージをゴミ箱に捨てようとした。
食べてもマイナスにしかならないのなら捨てたほうがまだましだろう。
しかしあんなにまずいソーセージがあっていいものだろうか?
僕の味覚にたまたまその瞬間だけ異変が起きていたのかもしれない。
念のためにもう一度だけ試してみよう…
―――もうどうしようもなくまずい―――
オエッ。
やっぱりまずかった、さっさと捨てよう。なんだか気分も悪い。
冷蔵庫を開け、2パックセットだった残りを封も開けずにゴミ箱に放り込みながら、あのとき安さに目がくらんでシャウエッセンを選ばなかった自分を恥じた。
余りのまずさに自炊する気も失せた僕は早々にベッドに潜り込み、冷え切った部屋の中で今日得た教訓をかみしめながら眠りにつくのだった…
完