最近、どうしようもなく漠然とした不安に襲われることが多い。
今までぼんやりと20年近く「普通に」生きてきたけれど、この先もそうやっていきていけるだろうか。
今の日本は、よっぽど自分からレールを踏み外さないようと努力しない限り、20歳くらいまでは普通に、まともに生きていける環境が整っている、と思っている。
中学校までは義務教育だし、高校への進学率もほぼ100パーセント近い。大学全入時代と言われる時代だから、(ここではお金の問題は置いておいて)大学まではだれでも、望めばみんなと同じように人生を歩んでいくことができる。
その中で自分で選択しなければいけないのは、せいぜい高校受験と大学受験でどこを受験するか、くらいだと思う。
でも、大学を出る時には状況が変わっている。大学を出てしまえば、次に選ぶべき選択肢は無限に広がってしまう。
いままでは学校を選ぶということだけ選んでいればよかったのが、今度は人生を丸ごと選ばないといけなくなる。そしてもう成人しているから、人生を誰かに決めてもらうことも、保護されていることもできず、自分で自分の選択の責任をすべて持たないといけない時が来る。
この大きな変化に、今まで自分ではっきりと決断する経験を積んでこなかった人間は、まったく適応できない。そういった後戻りのできない決断をするという経験がほとんどないから、目の前の問題にどう対応すればいいかがわからない。
今までに決断力を育ててこなかった自分が悪いんだけど、なんだか、世の中の自分以外の人はこんなに大変な決断を簡単そうにやっているなあ、と思う。
他にも不安を形作っているものはあって、女の子とまともに付き合ったことがないとか、人としゃべるのが好きじゃないとかいろいろあるけど、それら全ての不安に対して、他の人に対して周回遅れになっているんじゃないかというのが決定的に僕を絶望させる。
今から「がんばって」人並みにそういう能力や経験を積もうとしても、すでに大きすぎる差があるなら無意味じゃないか、結局相対的には人より劣ってる状態にあることには変わりがないんじゃないか、と思ってしまう。
もちろん、今の状態を改善するにはやるしかないことはわかっている。
「普通に」働いて、他者と良好なコミュニケーションをとれるようになって、好きなこと付き合って、結婚して、子供を育てて、そして家族を持って死にたい。
もう僕には、自分の中で形作られた「普通」がハードルの高すぎるものにしか思えず、いったい自分の基準がおかしいのか、それとも自分の人間的能力が他者に比べて圧倒的に劣っているから「普通」が難しそうに見えるのかがわからない。