みやころぐ

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虐殺器官、面白かったが原作未読の人にはかなり厳しい

連日の映画鑑賞となってけれど、虐殺器官を見てきた。

伊藤計劃はハーモニーと虐殺器官を読んでいて、すごい雰囲気が好きだった。

正直、虐殺器官に関しては小説以上の表現はできないと思っていたし、今まで見た小説原作の映画の9割以上は小説の劣化版でしかなかったから直前まで見に行くかどうか迷っていた。

 

でも、せっかく好きな作家の小説が映画化されるんだし、日曜だしほかにすることもないので結局見に行った。

見た感想としては、面白かった、確かに面白かったけれど、雰囲気を出すために大分説明を省略しているので、原作を読んだことのない人にはあまり理解できない映画だったんじゃないかと思う。

 

原作を読んだことのないであろうカップルが、見終わった後に私の後ろで「何か難しい話だったね^^」といっていたけど、まあそうなるわ。

導入はほとんどなし、そもそもあの小説のどうしようもなく文明が進んでディストピア化している状態を描き切るには、小説くらいの文章がないととてもじゃないけど足りないだろう。

映像を見せればわかるっていう話じゃないから、2時間の映画で足りないのかもしれない。

 

映画をまだ見てない人は絶対に先に小説を読んだ方がいい。小説を読んでいて、小説以上の完成度を求める人も見ない方がいい。

 

 

明らかな改悪が2点。少しネタバレ

 

レックスについて、小説では自分で死を選んでいたけれど、映画ではなぜか発狂してクラヴィスに打たれて死ぬ。これはとんでもない改悪だと思う。戦場で、ナノマシンで心を麻痺させながら人を殺してきたアレックスが、頭の中に地獄があるというセリフを言っていたアレックスが、自ら死を選ぶというのがこの小説のなかのかなり重要な描写の一つだった(と私は思っている)。

 

この描写がないと、最終盤でのジョンポールとの良心についてのやりとりの価値、痛覚をマスキングした相手との戦いの中でのクラヴィスの思考の意味がよく分からなくなってしまう。

ここは見栄えのためもあっただろうが、アレックスを自殺ではない原因で殺すのは最悪だった。

 

そして、最後のジョンポールを殺すシーン。これがまた最悪。原作ではジョンポールは不意打ちの様に、作戦を正直に遂行する味方によって殺されて、クラヴィスは自分で虐殺の文法を使って世界を混乱に導くことを決めるが、映画ではジョンポールにそれを示唆されてそのあとで自分でジョンポールを殺している。

なんでこうしちゃうかなあ。

このシーンで一番大事なのは、クラヴィスが自分で虐殺の文法を使おうと決断しているところ。

なのにそれを他人から与えられる形にしてしまってはもう…

 

ラヴィスの母に関しては全く話題にも出てこないし、やっぱり映画は小説の下位互換でしかなかった。

十分面白かったけど、小説の方が面白いし、伝わってくる。